海のいろ

尾野会厘(句歴2年目)。天草(熊本)の俳句を作っています。「鷹」会員、「奎」同人。詩吟と漢詩はかれこれ20年以上

【20/115句】『虚子百句』小西昭夫

虚子百句

 発行:2010年1月、創風社出版。
句数:115句
著者:小西昭夫(1954-)(『子規新報』編集長)。

 

表紙:虚子の若き頃のはにかんだ写真と、「ホトトギス」弐巻壱号、弐号、参号の写真(1898年弐巻壱号発行)。

備考:本著は『子規新報』の連載記事をまとめたもので、高浜虚子没後50年目に出版された。
以下20句抄出。

 

桐一葉日当りながら落ちにけり

金亀子擲つ闇の深さかな

ワガハイノカイミヨウモナキススキカナ

春風や闘志いだきて丘に立つ

一つ根に離れ浮く葉や春の水

蛇逃げて我を見し眼の草に残る

秋天の下に野菊の花弁欠く

白牡丹といふといへども紅ほのか

帚木に影といふものありにけり

紅梅の紅の通へる幹ならん

杖のごと蛇さげて来りけり

鴨の中の一つの鴨を見てゐたり

もの置けばそこに生れぬ秋の蔭

手毬唄かなしきことをうつくしく

大根を水くしや/\にして洗ふ

白酒の紐のごとくにつがれけり

造化又赤を好むや赤椿

笹鳴が初音となりし頃のこと

風生と死の話して涼しさよ

独り句の推敲をして遅き日を